『自由民権期の社会』
大日方 純夫
警察・民権・対外認識の三つのレンズを自由民権期(1881年前後)の東京の上に重ねて、都市社会の形相を探る。
◉第1章 政治の季節
					◉第2章 近代化の強制装置
					◉第3章 生活の構造
					◉第4章 娯楽の空間
					◉第5章 社会の裏面と底辺
					◉第6章 日本のなかの「世界」
<明治人の声を聞きたい>
  本書が扱うのは、一三〇年前、一八八一・八二年(明治十四・十五年)前後の日本である。場所は東京。
					   多くの人びとが実名・匿名で登場して、発言する。明治維新につづく文明開化・自由民権の時代は、現代を直接に規定する過去、近代が幕をあけた時代である。
					   政治、生活、娯楽、災害、国際関係……。一三〇年前の日本は、現在に何を投げかけているのか。時代に直面しながら発した人びとの声を聞きとることによって、現在を、そして、未来を考えてみたい。
					   私はこれまで近代日本の警察史、自由民権運動史、対外認識史を研究テーマとしてきた。そして今、都市史に主眼をおいた講義とゼミを担当している。では、警察のレンズ、自由民権のレンズ、対外認識のレンズを東京のうえに重ねると何が見えてくるのか。
					   さらに、個々の出来事を面に変え、立体化させ、そこに時代の空気を吹き込んでみたい。
					  そうした目論見を、私は本書にこめている。

●大日方 純夫(おびなた・すみお)
1950年、長野県生まれ。早稲田大学文学部卒業。現在、早稲田大学文学学術院教授。専門は日本近代史(政治史、警察史、社会史)。
 






